見出し画像

イラストレーター・オリタケイは考える、お金は「秤」|お金空想ラボ

みんな当たり前のように使っているけど、お金ってもっと多用でいいんじゃない? そんな考えのもと、この「お金空想ラボ」では、さまざまなクリエイターの力を借りて新しいお金の形を考えていきます。第2回に登場するのは、イラストレーターのオリタケイさんです。

1995年9月生まれ。株式会社piconでデザイナーとして働きながら、アーティストとしても活動。イラスト制作だけでなく、グッズデザインや漫画など、幅広く手がけている。@Oritakeikou

言葉を分解して、あらためて紡いだら形になった

——今回の作品はどこからアイデアが浮かんだのでしょうか?

最初にこの話をいただいたとき、笑っちゃうくらい何も思い浮かばなくて(笑)。「これはダメだ」ってなったもんですから、お金の歴史を知ることからはじめました。

お金と向き合ううえで貨幣経済の歴史まで遡ると、過去の人々が貨幣を起用するに至った経緯が見えてきます。貨幣の機能には、「支払い」「価値の尺度」「蓄蔵」「交換」があり、今回のアイデアは「価値の尺度」について焦点を置きました。

アーティストは自分の作品に自分で値をつけ、作品を求める人々へ届けます。作品に値段をつけるのは基本的に作者の自由ですが、うわぶりすぎても誰にも手に取ってもらえないし、低すぎてもチープに見られてしまう。極めて客観的な視点で、適切な値段をつけなければいけません。自分がつくった作品にどれほどの価値をつけるのか、そこには性善説に基づいた冷静かつ鋭い判断が必要です。

そう考えたとき、私にとってのお金とはすなわち「物の価値を多くの人へ最も正確に伝達できる言語である」という答えを導きました。目の前の皿が100円なのか1万円なのかで感じ取れる価値は大きく異なります。物事に値段をつける行為は、その物事の本質的な価値を見定めて誰もが認識できる言語に置き換えること、そのように捉えたときに必要最低限の言葉に分解すると、私には「価値」「公平性」「測る」「(より多くの人が理解できる)共通言語」というワードが出てきました。

その単語を寄せ集めて、いちばんイメージに近かったものを連想した結果「秤」というアイデアが思い浮かびました。

——制作期間を教えてください。

「自分にとってのお金とは?」を考える時間が3日ほど。これにいちばん時間をかけました。そこから「秤」をモチーフにするまでに2時間。最後に秤をどんなデザインにするかで1時間ほど考えました。絵に描き起こして全体の配色を調整するまでは30分ほどです。

——制作するうえで難しかったことは?

やはりアイデアを固めるまでが難しかったです。下調べという意味も含めて「お金を知る」という行為に最も時間を費やしました。

今回は「あなたにとってお金とは?」というテーマがあったので、そもそもの「お金とは何か?」という本質に立ち返る必要がありました。

その答えを出すためには、私たちが何気なく使っているお金が生まれた経緯や、お金でなければ解決できなかった課題など、お金の存在意義について本質的に向き合わなければなりませんでした。

——制作に使用している道具を教えてください。

今回の作品では、medibang paintを使っています。

——このお金、どういうふうに使ってほしいですか?

ムズカシイ……。

オリタケイさんが考えたお金の形

「秤」





ペイミーくんマガジンへのサポートもぜひ!