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山内奏人を支えたのは、投資家の存在だった。

人間、誰だってお金の失敗くらいある。それは日々大きな額のお金と向き合う経営者だって同じはず。新連載「僕がお金に負けた日」では、経営者がどんな失敗をして、その度にどうやってその局面を乗り越えてきたのかを探ります。初回は「どんなレシートでも1ユーザーあたり1日10枚買い取ります」というレシート買い取りアプリ「ONE」で大きな話題を集めた、ワンファイナンシャルの山内奏人さん。若くしてお金と向き合い続ける彼はどんな“お金に負けた”経験を持つのでしょうか。

山内奏人(やまうち・そうと)|2001年、東京生まれ。9歳から独学でプログラミングを始め、デザインやリサーチについても学ぶ。15歳で決済サービスのための会社ウォルト(現ワンファイナンシャル)を創業した。決済系サービスをいくつか立ち上げた後、18年6月にローンチしたレシート買取サービス「ONE(ワン)」が話題となり、リリース後16時間でダウンロード数が7万、買い取りレシート総数は24万枚を突破した。この春から慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)に進学。@5otoyam

資金調達するも、3つのサービスをクローズした経験

——4月から大学生ですね。事業一本に絞ることもできたと思うのですが、なぜ進学を選んだのですか?

今後は海外展開も考えているんですけど、移住するためには大学を出ていた方が有利なんですよ。あと、僕の興味がめちゃくちゃ分散していて(笑)。大学では音楽と建築を学びたいなと思ったんです。

——なるほど。ちなみに、これまでお金にまつわるサービスをいくつもつくってきた山内さんですが、ズバリお金に挫折した経験は?

それが、あんまりないんですよね。強いていえば、これまで3つサービスを潰していて。それは会社としては失敗ですね。あ、でも、大失敗ありました!

——お、なんですか?

純粋に個人の失敗なんですけど、ビットコインをなくしたんです。多分、今の価値で2,000万円分くらい。当時いろんなウォレットに分けていたらどこに入れたのかわからなくなって……。『レディ・プレイヤー1』の世界みたく、どこかに置き去りになっているはず。

——えええ……。気を取り直して、これまでの会社での失敗について順を追って教えてもらえますか。

はい。まず最初は15歳のときにビットコインのウォレットをつくったんですが、時期が早すぎて。1,000万円くらい資金調達したんですが、200人くらいしかユーザーもいなくて、半年できっぱりやめました。それからすぐに「次は個人間送金だ」と思ってサービスを立ち上げ、資金調達もしたのですが、本来はもっとつくり込みが必要で。資金力が厳しくてダメでしたね。最後は店舗用の決済端末。これは3,000店舗くらいまで伸びたんですが、カード会社との連携などの問題でやめました。昨年スタートした「ONE」で4つ目の事業ですが、2つ目あたりまでは暗黒期でしたね(笑)。

——3回失敗した後で「ONE」をローンチすることに不安はなかった?

ありますよね。でも、毎回ユーザー数は増えていたんですよ。だから、失敗するかもしれないと思いつつ、もしかしたらもうちょっといけるんじゃないかと。ローンチ前日に友人とご飯に行ったんですが、BANKの光本勇介さんがつくった即時買取アプリ「CASH」のローンチ日利用者数3万人という記録は超えられるんじゃないかと話していたのを覚えています。

——蓋を開ければ、リリース16時間で7万ダウンロードでしたね。

サービスに新規性があったので自信はありました。事前プレスリリースに対するメディアや記者さんの反応を見ていれば、世の中の反応がなんとなくわかるんです。今回はすぐに連絡もたくさんいただいて、これはユーザー受けするんじゃないかと思いました。

——むしろユーザーが集まりすぎて、メインサービスを一時中断することになりました。

本人承認のためにSMSを使うのですが、あれって一通あたり結構なお金がかかるんです。それで、上限があるので社員全員のクレカを登録して準備しましたが、初日の買取金額も含めて1,000万円くらいがその日のうちに消えましたね。でも、反応が良すぎた分、どこかで急落すると思ったので、それがめちゃくちゃ怖くて。先に1,000万円も使ってしまったから、どうにか収益化するしかないと必死でした。

——中断したときには、かなりいろんな意見が飛び交いましたね。

でも、僕らはユーザーの直接的なデータしか信じないようにしているので、意見はあまり気にしないようにしましたね。

日常と仕事の金銭感覚が違いすぎる

——10代で数千万円のお金を扱うのはどんな感覚なんですか。

もちろん個人の資産ではないですが、1日で1,000万円を使うことってプライベートでは絶対にないですよね。以前、ある先輩経営者に「日常と仕事の金銭感覚が違いすぎる」という話をしたら、「高校生活じゃなくて、会社の方に感覚を合わせればいい」と言ってくれて、すごく安心しました。ワンファイナンシャルのリード投資家でもあるインキュベイトファンドの本間真彦さんも「年齢は若くても、知識量は大人に負けない」とひとりの経営者として接してくれて。こういう方々から投資をいただけてハッピーだなと思います。一緒に戦えるんだと。

——投資家との関係性が山内くんを支えていると言っても過言ではない?

そうですね。経営者は意思決定し続けなきゃいけないので、実はすごく孤独なんです。だから、やっていることが正しいと誰かが言ってくれることがどんなに心強いか。

——これまで仕事をやめようと思ったことは?

ありますよ。苦しいことばかりです。サービスをやめるときとか、メンバーが急にいなくなったときとかは、人生終わったなと思って株主に「山に籠ります」と連絡したこともあります(笑)。それでも「まだお金もあるんだし、もう一回だけやってみたら?」と励ましてくれる人がいるし、僕自身そういうタイミングで次にやりたいことが見つかっちゃうんです。そうすると、やるしかないじゃないですか。これまでは事業の先行きも見えなかったですが、ようやく「ONE」のヒットで生きていくことはできそうなので、これからはどう成長していこうかを考えていきたいですね。

僕が30歳になるまで、まだ10年以上もある

——山内さんって失敗しても挫折する間もなく、新しいサービスへと気を入れ替えていますよね。そのバイタリティってどこから湧いてくるんですか?

事業を潰すときは落ち込みますけど、やめるという決定も自分がしているので、淡々とやっていくしかないというか。例えば、30歳までに100億円のキャッシュがほしいとして、僕はまだ10年以上あるから、それまでに何度もトライすればなんとかなるだろうって思うんです。僕らのレベルだと自己資金500万円とエンジニア3人がいればサービスをつくれるんですね。そういうことをいっぱいやっていこうかなと。

——では、今年も引き続き新しいサービスを立ち上げていくんですね。

今年は「ONE」の売り上げを伸ばしながら、地盤を固める年にしたいなと。そのうえで次の事業にチャレンジしたいと思います。僕、1日1つはアイデアを思いつくんですけど、その中で実際に実現できるのって1/100くらいだから、年間で3つしか形にできないんですよ。だから、それをしっかり当てにいきたいと思います。

文・すみたたかひろ 編集・ペイミーくんマガジン 撮影・大森めぐみ

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