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お金とロック

ロックはロックでも、今日は音楽じゃなくて、岩の話。

西太平洋、ミクロネシア連邦の西端に位置するヤップ島は「The Island of Stone Money(石貨の島)」と呼ばれている。

このことからもわかるとおり、この島の観光資源のひとつとなっているのが石貨。小さいもので手のひらサイズ、大きいものになると直径2.5m以上にも及ぶという。とはいえ、現金として使われることはほとんどなく、冠婚葬祭の贈答品や揉め事を解決する際に気持ちの代用として使われることが多かったそうだ。

おもしろいのがその価値の決め方。一定の基準があるわけではなく、その石貨の来歴によって変動していたという。つまり、石貨にまつわるストーリーに値段がつけられていたとも言える。

特に価値が高かったのが製造初期のもの。島から約500km離れたパラオで、石斧を使って数カ月かけて切り出され、それをいかだに乗せて持ち帰っていたからだ。当然ながら嵐が来れば沈没することもあるわけで、ときには死者が出ることもあったそう。そうした苦労話が口伝によって継承されており、所有者の語り口も石貨の価値を決める要素になっていたという。

ちなみにこのヤップ島の石貨、日本でも見ることができる。

東京のど真ん中、日比谷公園の一角に置かれたこの石貨は、ヤップ島が日本の委任統治領だった1925年に寄贈されたもの。大学初任給が50円ほどだった時代に千円程度の価値があったというので、なかなかのお値打ち品だったみたい。

休憩がてら、眺めに行ってもいいかもね。




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