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親や友人が自分にしてくれたように、お金による恩返しがしたいと弁護士・桜井康統は考える。

肩書きを聞いてもどんな仕事をしているのかわからない人たちのリアルなお金事情を探る連載企画「ところで、どうやって稼いでいるんですか?」。その番外編として、ペイミーグッズプロジェクトのクラウドファウンディングでパトロンになってくれた4人の方々を尋ねました。3人目に登場するのは、ウェール法律事務所の弁護士・桜井康統さんです。

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桜井康統(さくらい・やすのり)|弁護士。ウェール法律事務所。2019年7月には、ベストボディ・ジャパン(BBJ)富山大会ミドルクラスで5位入賞を果たす。同年9月、医師をはじめとした医療従事者に特化した退職代理サービスをリリースした。

人生でいちばん努力した頃

——桜井さんはどうして弁護士になろうと思ったんですか? 

大学生の頃はロックスターかファッションデザイナー以外やりたい仕事がなかったんですよね。それで就活のときは経験のためにと思ってテレビ局各社を受けたのですが、すべて落ちてしまって。結局、就職しないまま大学を卒業してフリーターになりました。それでしばらくはアルバイトをしながら生活していたんですけど、大学の友人がロースクールに通うようになって、「こういう道もあるよ」と。それで。

——そこからかなり勉強されたんですか?

昔から勉強が苦手でしたので怒涛のようにしましたね。自分の人生においてもいちばん努力したと思います。夜の11時まで自習室が空いてるんですけど、警備員が回ってくるまで勉強して、その後は駅前のマックに移動して深夜1時まで勉強していました。今でも厳しい局面になると、あの頃のことを思い出します。自分のコアとなるものを形成するのに大切な時期でしたね。

——当時のことで覚えていることはありますか?

今回は「お金」がテーマのインタビューとのことだったので、過去のことをいろいろ思い返していたんですけど、ロースクールに入学するタイミングで中学時代からの親友から20万円を受け取ったことがあって。

——聞かせてください。

当時、私はほとんどお金を持っていませんでした。それでも勉強に集中するために学校の近くのアパートに引っ越そうと考えていたんです。それを世間話くらいの感じで話したところ、後日に「振り込んでおいたから」と。痺れましたね。

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——うれしい一方で、プレッシャーもあったのでは?

そうですね。それもあって、明治大学法科大学院の既修者コースに100人いるなかで2番の成績で卒業できました。その後、司法試験の合格を彼に伝えると「お前みたいなもんは海外に行ったこともないだろうから、とりあえず旅行してこい」とまた20万円を振り込んでくれて。

——合計40万円! すごいですね。

はい。そのときに受け取ったお金はつい最近になって全額返したのですが、その一方で彼は現在、あるファンドから180億円を調達して事業に励んでいます。

——180億円!

僕に40万円を渡して、自身は180億円を調達する。彼が日本法人の代表を務める会社としてですが。

——そこまで勉強を頑張れたのはなぜだったのでしょうか?

40万円を返済するためというのもありますが(笑)、父親の存在も大きいです。司法試験を受けるときに落ちたらどうするという話をしたのですが、そのときに「家を売ってなんとかしてやるから1年間勉強だけに集中しろ」と言ってくれて。そんな強烈なこと親だとしてもなかなか言えないと思うんですよね。だから、すごく感謝しています。

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仕事で大切にしているのは“一期一会”

——現在のクライアントは、どういった業界が多いのでしょうか。

音楽、広告、美容、飲食などが多いですね。『フォレスト・ガンプ/一期一会』という作品があるのですが、主人公のガンプのように、出会ってきた誰に対しても「この人とはうまくやっていける」というストーリーに身を任せて仕事をしたいと思っています。

——映画からの影響ですか。

力を貰えるような、ポジティブな映画が好きなんです。『ショーシャンクの空に』でも、冤罪なのに刑務所に入れられた怒涛の日々が描かれています。そうすると、自分がいま置かれている状況はチャンスしかないような気がするんです。細々とした辛いことはあるけれど、そういう状況でも希望を捨てずにいればチャンスしかない。だから、頑張らないでどうするんだ! と自分自身を鼓舞しています。

——弁護士としてのやりがいはどこに感じられているんですか?

企業案件も個人案件も、その案件がなんらかの解決をみることで当事者が次の一歩を踏み出せる。多少でもそこのお手伝いができれば、クライアントとストーリーを共有する関係になる。それがやりがいであり、生きがいですね。

——企業法務の仕事は、起業家の方々と二人三脚でやっていく印象があります。

そうですね。起業家・経営者は、銀行や投資家からお金を調達し、リスクをとって事業を仕掛けています。一方で、企業法務を担う弁護士は、法的リスクを軽減することが仕事で、なかなか仕掛け方を一緒に考えるところまではやれていないかもしれません。継続的に法律以外の本も読み、自身の弁護士業の経営も軌道に乗せながら、ビジネス感覚を磨いていければと思います。


他人のためにもっとお金を使っていきたい

——最近はどんなことにお金を使うことが多いですか?

しばらくはずっと食事でした。神楽坂にお気に入りの日本料理店があって、足を運ぶ度に次の予約をして帰るのですが、大将の所作や会話、弟子との接し方が本当に素晴らしくて。飲食店は従業員の定着率が低いと言われていますが、その店は弟子がなかなかやめないんです。それもすべて大将の人柄あってこそなのかな、と。

——そういう一流のサービスを知る機会をあえてつくっていると。

他方ですごく安い店にも行きますし、グルメサイトのクーポンも必ず使うようにしています。そういうのを貧乏くさいと嫌がる人もいるのですが、お金は考えなしで使っているとすぐなくなってしまうので、10%オフのクーポンを大事にしたいと思っています。

——これからどんなことにお金を使っていきたいですか?

使わないと入ってこないという側面はあります。ただ、本当はもっと親に使わないといけないんでしょう。その点、私はまだまだ子供だなと思っています。自分のためにお金を使うことの方が多いので。でも、将来、子どもができたら自分のためにお金を使うことってほとんどなくなると思うんですよ。実際、今は物欲もほとんどなくなってしまいましたし。親や友人が私にしてくれたように、自分もうまくお金を使っていければいいなと思っています。

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取材・文:村上広大 撮影:玉村敬太

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